オトシモノイチワリ/りぃ
ささいなことの定義を知らない僕たちは
もうずっと独りきりなのだと思った
泣き虫を殺した日
生命の容易さを知り己の容易さを知る
不確かで曖昧な波の中では皆が
ひとり、また、ひとりと沈んでゆくのに
何故か手はまだ天を摑もうとする
神様は例え話が嫌いなくせに
僕たちに何一つ真実を落とさない
だから、ねぇ。
ささいなことで殴りつけたアイツの顔が
何故あれほど歪んでしまったのか
分からないままに流されて
何処までもゆく
大人たちは笑うだろう、何故だ、と問うだろう
分からないと答える僕たちを彼らが殴りつけたなら
きっとその時に神様は落し物をする
ほんのささいな落し物を。
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