スペース・オペラ/まんぼう
年老いた子供たちは
宇宙戦艦ヤマトの艦長になって
強力無比のバリヤーに守られ
波動砲で全ての敵を蹴散らして
前方に広がる星の海へ
嗚呼でも
極厚の特殊合金越しに
宇宙の寒さが身に染むだろう
生き別れた大人たちは
決して知られることのない
砂漠の地下基地で
中性子爆弾や水素爆弾
原子爆弾の発射ボタンを磨きながら
平和を侵す見知らぬ敵を脅しつける
まさに其の時も
堅牢無比の地下シェルターごしに
砂漠の暑さが身を焦がすだろう
夢から覚めれば
木枯らしの吹く街頭
ばっさり浴びた返り血や
凍りつくよなあの女の涙で
義理も人情も通さなくなった
縞の背広に身を包むと
暮れてゆく年の瀬の賑わいと
取り返せない後悔に
惻惻と首筋が寒いのです
戻る 編 削 Point(4)