片想い/クラウン
最初から決められた運命を
憎らしく思ってしまう
出会ったときから
彼はずっと両想い
私はそんな彼に
ずっと片想い
なのに時計の針だけは
私を置いてけぼりにしたまま
ただ前へ、前へと進む
立ち止まることも
振り返ることも
涙を流すこともない時計を
憎らしく思ってしまう
胸が締め付けられるようで
苦しくて、もがいて
涙が止まらないのに
涙の海に飲まれそうになっても
彼にだけは助け求めない
目を合わせるのが怖くて
目が合うと苦しくて
息もできない
だから私はもろい心に
人生最大の宝物を隠しながら
ひとり、これからを生きていく
ときに泣きながら
ときに笑いながら…
戻る 編 削 Point(3)