case of murder/篠有里
た。
結局は単に言われた事のために、何が起こったかについての推測です。
いつも夫の内部で心に何かを持っていた日々。ねじ伏せられる事実、実情、真実。
空は彼の妻が青いと言ったよりむしろ、蒸気で白く濁っていました。鬱屈した空です。
想像の光景は続きます。日なたで道具がきらきら光っています。影は背の低い黒い人です。
二人で畑を耕す事。会話の中に夫の内部が垣間見えて、そこに何らかの軋轢が生じます。
それはほんの些細な事です。小さな事が二人を争わせます。取るに足らない事の連続。
妻は、夫に対して何か言いました。夫の内部にある、それに触れます。
いつしか諍いは彼
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