ある国の現実   〜モスクワで逝ったチェチェンの女戦士に捧ぐ〜/do_pi_can
 
,のたうちながら

死んだ。

報復は,罪か?

このままでは,

子供達に指し示してやる

明日がない。

だから,

道を開いてやるのだ。

彼らの愛する者を奪った奴らの

血をもって。

子供達は,

この母の屍を乗り越えて,

きっと,明日を見つけてくれる。

そのために手段は選ばない。

選べない。

奴らの前に

身体だって開いてやる。

そして,

何十人もの奴らを

殺戮してやる。

それが,

母の務めだ。

子供達が

緑成す

実り多き国を

築いてくれるだろう。

季節の中で,

昔のように

人々の笑顔あふれる国を

創ってくれるだろう。

奴らが来る前に

確かに存在した

かつての我らの国。



子供達は

知っている

母が,

最後に

瞼に思い描く

子供達の未来の姿を。



そのために,

何故,戦わない?




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