仮住い/霜天
─ほどに。
それほどに、それほどに
行方は逃げていきますか
黒縁の窓枠と
フクロウ
僕の机にあるものは
一日のからくりと
枯れ草と
青いビー玉の金魚鉢
いつでもとても綺麗
と、呼べるほどに
ほどに
背中は逃げて見えますか
静かに紛れ込むようなら
なおのこと
嘘を履き違えてしまったこと
嘘を履き違えてしまったこと
嘘を履き違えてしまった、こと
近しい空にはぐれてしまっただけなら
微笑むだけで夕暮れていけるのに
履き違えてしまったこと
裸足で走り出すには
朝にはいつも鍵を探してしまう
出発する、それだけが場所で、決めてい
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