底流の鏡/カンチェルスキス
1番線のホームで各駅を待った。
2番線のホームに各駅が来た。
赤いコートの女が柱にもたれていた。
おれは各駅に乗った。
眠くなってきて、眠った。
四つ先の駅で下りた。
改札を抜けて、縦に並んだ他のやつらの迎えの車を
通り過ぎた。
ドブ川にかかってる橋を
渡っていった。
風が強かった。
三度潰れた喫茶店が潰れていた。
歩道橋の上で散歩の老夫婦とすれ違った。
どちらもフードのついた上着を着てた。
フェンスに個人名がついてる金貸しの看板が
いくつか縛りつけれてあった。
ラーメン屋に入った。
にきび面の高校生だった。
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