流人/佐々宝砂
 
地球上に私の居場所はない
でも居場所くらい自分でつくれると思った
でかい大陸は無理だったが
ちいさな島をつくるのはそんなに難しくなかった

島をつくったとたん流人たちがやってきた
できたての島は栄養不足だから
みんなで排泄物をまく
それはそれで臭いながらも栄養豊かなので
すてきに作物が 米が麦がトウモロコシが稔る
たまに私の腕から生えてきて稔ってしまったりもするが
食ってしまえばいいだけだから
そう不快ではない
だけど私の居場所はまたなくなる
だってここはもう
私の土地ではなくてあのひとたちの

それで私はまたでかける
私のなかにはもう排泄物すらないので
(い
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