「来る，春，狂う」/do_pi_can
いう存在
あなたの吐息に
かき乱されながら
かろうじて，
形を保とうとする
生命体
来る春に，狂う春
どちらも辱められた春か
桜は，まだか
まだ咲かないか
私は，咲き狂った桜の木の下で
あなたを犯したいと，叫ぶ
桜色の猥雑な堤燈も風に揺れよう
ビニールの桜の花びらの飾りが
あなたの裸に似合おう
木の根元で
あなたの背中の曲線を指でなぞろう
そのように
そのように
二人で舞い，踊り
狂う春，来る
その先で狂い続ける季節の哀れ
ドアを叩くな
ドアを叩くな
私は，ここから出て行けない
この春が逝くまで
この部屋で
あなたの幻影を追い
一人狂う
あなたは季節と共に逝くがいい
カーテンを揺らし入り込む
夜光虫の群れが
あなたの肉体の代用だ
その冷え冷えとした流動体が
今の私にはふさわしかろう
そのように，
そのように
私は，あなたの寝顔に狂っていく
そのように，来る，春，狂う
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