フェイク/たもつ
 


鉄の味が庭先をくるくる泳いで
昔の叔父さんに似ていた
遅すぎたわけではなく
けれど早すぎたわけでもない
生まれてこないものも
生まれてくるものと同じくらいに
表札の所有者なのだから
夏の日が暮れる頃になると
もはや誰もが
迷信など信じなくなっていた



戻る   Point(3)