七つの短編詩「少年の青い揺り籠」/前田ふむふむ
七つの短編詩
平成十七年四月―五月
(KOTOBA)
僕はkotobaをいったことがあるだろうか。
振り返っても、正確には思い出せない。
でも、記憶の片隅にわずかにktobaを
言っただろう僕がいる。
これから先、人生でkotobaを
いくつ言えるだろう。
kotobaを渇望して僕がいるのに。
たくさんのkotbaをいってみたい僕がいるのに。
いってみたいkotobaが見当たらない。
(十円玉)
道端で十円玉が落ちていたので拾ってみた。
拾った十円玉を眺めていたら、
十円玉の顔に皺を見つけた。
十円玉の顔の皺を伸ばそうと擦ったら、
「
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