春待人/紫翠
 
傘もささずに駆け出した 
胸に 弾む雨 あなたとの出逢い

秋は深まり ひだまりのぬくもり
やがて移ろい いつしかたよりは途絶えたまま 
春を待つ 心に 訪れた小鳥のさえずり

 この街にもう一度 美しい秋がめぐる頃
 元気でいる、と きかせてほしい

ああ 歩いてきた この路をうずめる ひとひらの思い出
振り向けば 空気にとけて、消える
やさしい まぼろし

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