調律/松本 卓也
 

何処となく寂しげに
微笑みかけるだけだから

僕はただ圧し掛かる生と
脅える死の果てを夢みて
あからさまな希望を
詠ったりするのです

嘘をついている訳でも
意地を張っている訳でも
諦めているのでもなく

ただ空を這う雲を五線紙に
我が身を重ねて描くのは
いつもと同じに過ごして
少しだけ萎えた心に
一片の慰めを期待して

淀みを掻き分けながら
散りばめた音を胸の中で
調律していくのでした
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