ライトで躰は糖度を上げる/山本雅代
 
麦茶が漏洩している
いっぱいやってくる客のために
数個のコップと
数個のヤカンを
用意している途中であった
それ は確かに漏れている。

術を唱えることもできたが
ごそごそと口を動かすことに
意味を見出せはしないだろう。
テーブルの花瓶
倒れかけて水が
乾いたまま張り付いている。

空中の水気が
鉄を余計に硬くさせた。
透明なガラスに
平面を擦るようにして入る鉄の
一瞬に鳴き音のする架空、
あと少ししたら部屋へ。
いっぱいやってくるのだ

葉 花びら、の
すす 溶けていく びん の穴 ひとつ。
五寸釘さえ
性器を逆なでする道具。
KでもLでもない ここは
電気さえ、通っていない。


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