25Y・12.10/木立 悟
 

今も畜生の毛の混じる魚を売る店と
効き目に右目を選んだ赤子と
横たわるしかない星座と決められすぎた北からの視(ほし)と
雑咽(ざつおん)の痛みと葉と背(はい)と肺の宙宇と人と
その片すみでありながら赦しを得ても吐き捨てる民と
適度に腐った食べものの府と
人の失い思い出と
雪がなければ生きられぬ種






やめよう  やめよう
もう耕す土地などないんだ
何かを育む地面も
何かを隠す土さえもないんだ
牧場を囲む山々はむらさき
青の点滅は無い街への道を照らすたましいだ









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