犬吠埼/
遊羽
風が遊んでいた
波の音はかき消され
鉄塔にからみつくような電線は
歌を歌っていた
一条の光が闇を貫き
遠く海を照らしている
灯台のもと 風が遊んでいた
空が目を閉じていた
一切の星々が瞬きを忘れ
口を閉じたように
灯台はそびえ立っていた
一条の光が空に滑り出し
十字を回し続けていた
灯台の上 空が目を閉じていた
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