九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
への発展(全集四巻の229頁参照*ここでは「客観的法則か らの自由を願う自由詩と主観的法則からの自由を自由の本質と信じる 韻律詩の問題」を指しています)以外の意味に於いては、絶対的に懐 疑的である。それならば、短歌や俳句は日本人の詩的要求を完全に充 して余すところがないかといふに、さうは言えない。余りに短いため に十分の内容を盛り得ないうらみがあり、連作の手法によつてもその 欠点は補ひ得ない場合がある。そこに日本詩の大体としての行き方は 詩的情操に十分の満足を与へ得るであらうか。私はそれを疑はないで はゐられない。短歌や俳句が、形式美に強味を有ちながら、内容の包 摂に短所を感ずるのと正反対に、今日
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