キッチン(拡張中)/霜天
路地裏の台所
いつも泣きながら言い訳を調理する
どこに傾いても、コンセントに差し込む場所が見えないので
とりあえず玉ねぎを切っていた
ということにしてみたい
*
電子レンジに生卵を入れても
誰も叱ってくれる人がいない
誰もその先を知ろうとしないからだろう
回転を続ける卵を見ている、カウントダウン
暴発する世界、それもいいかもしれない
*
台所に屋根が付いた
こんな場所にいても誰も文句を言わないけれど
屋根を付けてくれたのは誰なんだろう
とりあえず椅子を持ち込んで、珈琲を飲む
いつもより苦いけれど、砂糖は必要なかった
*
今日も
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