缶蹴り/桜 葉一
まず、最初の一発が痛い。
大抵、この最初の一発で重症を負う。
なにせ、皆、逃げて隠れるのに必死だから、
遠くに飛ばさなければならない理屈は分かるが、
最初はかくれんぼみたいに100数えるのでもいいのではないか。
と思う。
鬼も鬼だ。
乱暴に拾い、乱暴置かれ、見舞いの言葉1つくれず、10を数え出す。
缶をやっていても、いいことが一つもない。
恐いのは、逃げたヤツらが鬼の隙を見て缶を蹴りに来た時だ。
ドタドタドタ。
という足音。
迫り来る足達。
蹴られるか。
踏まれるか。
どちらもちっとも嬉しくない。
最悪の展開は、鬼が踏んだ後に蹴られるパターンだ。
上から抑えつけら
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