泣いているのかもしれない/
北野つづみ
音もなく降る雪
泣いているのかもしれない
白い
空の向こうで
殺された小さな手と
殺した大きな手
どちらもあなたに似せて造られた手
耐え難く
愛しい
泣いているのかもしれない、その手で
顔を覆い
見開いた眼から流れ落ちるのは
冷たく美しい
雪なのかもしれない
とめどなく降る雪
今日は朝から
ひとすじの日も差さない
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