エッフェル塔/時雨
 
この街で一番高い時計塔を勝手に「エッフェル塔」と名付けたきみを、
今日も僕はそのエッフェル塔まで迎えにいくんだ、自転車で。

そのエッフェル塔の真下にある噴水に腰掛けて、
つまらなそうに足をぶらぶらさせて(スカートの中見えてますよ、お嬢さん)
まるできみは迷い子のようだ。
そう、僕を見つけると母親を見つけた幼子のように喜ぶから。

自転車に心地よいきみの重みが加わって、
僕はさっきよりも重くなったペダルをこぎ出し(もしや少し肥えましたか、お嬢さん)
肩に乗せられた手をほんのちょっと物足りなく思う。
ほんとは、腰にぎゅっと手を回して欲しいなんて言えやしないから。

例えば、
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