綾取り/霜天
 

プラットホームの方だったのかもしれない


そして季節が落ちて

指先で言葉を結び付けるようにして、君は
白かった空を少しだけ、破る
ベンチの側で零れていた光が
いつも、より遠い場所へ戻っていく
ほら、これが東京タワー、と
指差すようにして、その手を


長いプラットホームの向こうから
今日も人が零れるようにして
互いにすれ違いながら
言葉よりも近くで、確認しあっている
明日も、その先も
動き出す景色に向かって
何かを指先に
掛け間違えているようで
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