綾取り/霜天
四番線
長いプラットホームで君は
耳を塞いで、流される街を眺めている
夢の覚め際を誤ったばかりの
振り返れない体の振れ幅を
寒いベンチの隅に馴染ませて
いつも、端の見えない駅の景色の
その向こう側が見てみたい、と
毎日の隙間のような細い体で
繰り返す
隣で
ついでのように並んでしまう僕も
どこかで誤っているらしい
言葉を
指先で紡ぐようにして
置き忘れの風景にいつも、流してきた
ゆっくりと停止する窓の向こうに
誰かの声を見たような気がして
ほどけそうな足で君が、追いかけると
景色の向こう側が動き出す、気配がする
見送りながら、流れ始めていたのは
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)