モグラ/たけ いたけ
 

明日海が見たい気がするけど
お金がなかったように

あの人のサイフの膨らみは深呼吸を優雅にしていた
誰よりも大きく生き生きと
あんなところへもぐりたかった
のかもしれないな
と隣の人に声をかけた

この街の色を塗りたくったのは
まぎれもなく人だった
この街の建造物を工作したのは
まぎれもなく人だった
今日の空はしらじら真っ白で
街までなんだかしらじらとしていたので
写真にとってみた
けど思いのほかな写り方でしらけた
あのアスファルトの傾斜は
見えなくなってしまった大地の名残だったのだろうか
激しく息を継いでいるように見えた
見えた
僕はそれを見た


モグラになれば
目が見えなくなって
それらが見えない
なんて悲しい
モグラになれば目が見えなくなってそれらが見えない
それで構わない
モグラになれば
目が見えなくなって
それらが見えない
なんて悲しいんだ



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