うたと赤子/木立 悟
 



木は影になり
しずくを流し
銀はせつな
銀はとこしえ


光の粒が
川になり
見つめるまなこ
満たすはじまり


昼の星の
糸をたぐり
ふたりで赤子を
紡ぎました


月がさすと
霧は緑
姿のこだま
水の道のり


原にこぼれた
墨は昇り
宙は花に
空は木に


森から空へ
火が放つもの
すべての木の上
ひらく手のひら


夜を踏みしめ
蒼を聴くとき
背にひたひたと
そのままの朝


星の川と水の川
ふたつの光の
赤子がひとり
水辺に笑っておりました
うたを歌っておりました








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