あゆみ/a.u.i.
 
微光する灰皿に視線を落とし
きつく反射するレモン色が
まぶしい
そういえば
いつもこうやって
うずくまり笑った

静か過ぎてずっと
目覚まし時計の音が耳を触る
私が詩をかけなくなっても
きっとあのひとは幸せであってほしい

あゆめないことなんてない
こべりついた残り香を死守しながら
は、と吐いた息は
白く空を描いた
吐く息のリズムに合わせて
ウィンカーがまるで息をしているかのようで
同じようにして
どうか息を吹き返してほしいと思う物事があって
そう願う祈りが
きっと今の私の10の指を塞いでるんだ、
言葉が必要だと思った

灰皿が微光して
離れないレモン色
第一弦目をはじいて
誰かの祈りのようにして
ずっと夜から放れずに
ウィンカーの逆光が
幼い頃の記憶に触れた
そういえば
いつもここから
あゆもうと決めた
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