星のゆりかご/紫翠
お池の向こうにみえていた
小さな山は 削り取られた
星の数 名もなき命の ゆりかごが
その上に新しく建った家で、子供が育つ
私も そのようにして育った子供の一人です
祈るように鳴き交わす 沢山の蛙よ
不思議な、光る蝸牛達よ
我々は、その子供達を追いやった者のうちの 一人なのだ
そうしなければ 生きていけなかった けれども
そこまでする必要が ほんとうにあっただろうか
星の数 細胞に満たされた 私の宇宙
かけがえのない あなたは、宇宙
星のゆりかご 音もなく、回り続ける
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