無言/blue Ladybird
なたの言葉が欲しかった。
街全体を夕闇が覆っても、
すべての風が通りすぎて行っても、
いくつの星が消えてまた新しい星が生まれても、
あなたは無言のまま。
何がどうして私は知ったのだろう?
その無言の中にこそ、
あなたの言葉があることを。
あなたの思いの中に私は生きて、
あなたの言葉は私を包み込んでいた。
私を見つめる沈黙の中に
私を抱きしめる腕と胸のぬくもりに
私にくちづけるやわらかな唇の感触に
私の手を握る力強さに
あなたの言葉はあったのだと
そのどれもが、もう味わえない今になって
ようやく私は気付いたのです。
ああ
私は何をもって
あなたにこの事実を伝えられるのか
知る術もなく
どうして一番できてほしいことが
私にはできないんだろう。
あなたに今伝えたいことが伝えられないなんて。
あなたの一番伝えたかったことを
無言という表面を裏返してみることができなかったなんて。
私はただひとり、
無力です。
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