黒ぶちと猫/よーかん
 
り始めた。
とりあえずノビをして、
二階にあがる。
窓辺にこしかけて、
公園の木々をボンヤリ眺める。
さっき見た夢を思い出そうとして、すぐあきらめる。

霧雨のむこうから、
黄色い傘をクルクルと回しながら、
ランドセルを背負った少年が歩いてくる。
傘からはみ出た給食袋がびしょびしょに濡れている。
少年がボクの視線に気づく。

黒ぶちの厚い眼がねをかけている。
少年はチチチと舌で音を鳴らしながら、
二階の窓辺のボクに、
折りたたんだ傘を伸ばし、
鼻の前で小さな円を描き始めた。

トンボと猫は違う生き物だよ。
そう思いながら、ボクは目を開いた。

机の上の目覚まし時計に手を伸ばす。
灰皿を手に取りタバコに火をつける。
窓を開いて煙をはいた。
ジャンボジェットが空を横切って行く。











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