黒ぶちと猫/よーかん
 

畳敷きの部屋、
ベッドの上で、
単行本をオナカにのせて、
天井の木目をボンヤリ見ている。

平日の昼下がり。
すすけた部屋。

障子を少し開いて、青い空をながめる。
体をのばしてあくびをしてみた。
フと思う。
猫にでも生まれかわれたらなと。

国道とか駅から遠い、
できれば、小さな公園の近くの、
古い日本家屋に住んでいる猫。
そう、黒い猫がいい。

晴れた日、
縁側でくつろいでいる黒い猫。
つぼみが今にも開きそうな朝顔と、
つがいの出目金がフワフワと泳いでいる水槽がある。
草木のにおいにまどろみながら、
ボクはそこで夢を見ている。

雨が降り始
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