3月/日朗歩野
ハチミツを味わうだけでいい。
一つ一つ手にとってたたんでみると、質が良いとは思わなかった僕のクマ、十分にあたたかそうだ。
あ。これなんて気に入ってるしなあ。
僕らしいってことでいるには、気に入っているというのはとても重要だ。
クマをキチンとたたみ終えて、すこしほっとする。
ガラスの外はすっかり暗くなった。
僕は、外に出る用事を思いつきませんようにと唱えながら、布団をアナグラノカタチに整え、甘いパンを手にもぐりこんだ。
早く夏が来て、川で遊べるといい。
戻る 編 削 Point(3)