稲村つぐ詩集「四線譜」を読みて/三州生桑
詩集!
「四線譜」を読み進めるごとに、私には様々な詩想が湧いて来る。
あたかも、連歌、連句のやうに。
「咳」稲村つぐ
悪夢へ形が投棄される
痛みは振り切れぬと学びながら
今朝も先の神経に
安い肺臓をぶら下げて遊んだ
「過ぎ去りし喘鳴」三州生桑
友よ、お前は
夜通し紫煙を吐きながら
黄色い猥談ばかりして
赤くなった俺をからかって
黒く咳き込んでゐたな
先生からの
あの電話があってから
煙草と電話と猥談は
俺の生涯の敵なのだ
この詩集を初版で手に入れられたことは、私にとって、間違ひなく大きな収穫であった。
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この詩集の、編
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