[ 天使と僕(よりみち)]/渕崎。
『寄り道をしたぶん、人は豊かになるのですよ』
僕は敷かれたレールの上を歩いている。
レール、ですか?と居候天使は僕の斜め後ろでくるりと一回転して不思議そうな顔をした。
レール、レールと何度か口の中で租借するように呟いてみていたが、意味が解からなかったのかむぅと眉を潜めて首を傾げる。
勉強机の上に詰まれた教材のひとつをひょいと摘み上げ、僕はのんきな自称天使に放り投げた。
勉強は嫌いではない、本を読むことも知識を得ることも、どちらかといえば好きな方に入るだろう。
ただ、僕には目的はない。
敷かれたレールの先に、親の望んだ目的地はあるのだろうけれどそれは僕の目的地ではない。
何が
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