ワールドアパート/モリマサ公
 
世界は鍵のないドアのようなものだ
君は今ほほえみという名前の粉ミルクをお湯で溶かしている
名前をよびたかったがわからない
せめてメルアドを教えてほしいというと語尾上げで「はあ?」と一瞥される
ガラス越しにはだかのけやきがおおきくゆすれ
路肩でバイクのシートが勢いよくめくれあがり
駅ビルの入り口であまりにも無邪気な北の家族の旗がばたばたとはためいていて
心臓ではきれいなものときたないものがまじらないようにざあざあ音がしていて
南極大陸で短い夏が今にもおわろうとしている
存在する不在たたまれた新聞に泥がはねる
2001年9月
ブロードウェイでぼろきれが何度もひかれてそのうえをジェ
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