春先/nm6
とても美しいことを書けそうだと思って
さわりかたをそっとしたりしてみる
きみへ続く空中はゆらいで白く
物理学の本ならばたとえば
ペットボトルの曲線をなぜて
やわらかに跳ね返っている
春先の午後に
あられの夜に叩きつけた
剥き出しの月に慌ててしまって
たどり着くことを急いでしまったこと
予感が匂いたって消えないこと
宙につられた春先の午後に
前はこっちで
後ろはそっちで
ぼくは世界を変える方法と一緒に
つつましくさわがせて思い出している
これまでに迎えた春先の午後に
算数のどこかに
確からしさということばがあったことと
書けそうだと思っていたはずの
とても美しいことと
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