鳥と子/木立 悟
 

降る雪の向こうに舌先があり
ひびわれたくちびるをなめている
黒に囲まれた空の道を
砕けては砕けては照らす風


花のからだの鳥がめざめて
空を羽の仕草になぞり
うつら うつら
空にもうひとつの空を描く


小さく燃える雪を歩み
炎を真上から見つめるとき
星の裏側に揺れるうたと
たおやかなつぼみの手のひらを知る


かすむ雪の日
うたう蒼の日
ひとり ひとり
降りそそぐ日


呑みこむことにいそがしく
いつまでも顔を上げない子
のどがかれてしまう
衣がよごれてしまう


鳥は自分が鳥だと知らぬまま
からだの花をこぼしながら
羽をふた
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