長い一日-は-まだ-はじまってもいない/黒川排除 (oldsoup)
 
予測とはすべて確信のことだった。だからシャッターはこれからも開かれない。常連たちは丸焦げの葉巻を吸って闇を吐き、思い思いに彼らの思い出を語る。無指向性の会話。定員の三十倍、上から下まで。三時間目はしめやかに執り行われる。

四時間前に聞いた話。錆びてもう動かないはずの汽車が一晩の間に動いてどこかへ行ったというのだ。駅には一個の巨大な空洞がゼリーのようにふくれあがって密着してみんな風の噂を信じたように黙っていた。風が吹いても吹いても一向に動かない灰色の雲の隙間からいつか透明な蝋が流れ出る。それでいつの日か海と陸に囲まれた場所が満たされる。供給ラインの外部で佇んでいる仲間たちがそれぞれ電報を受け取るごとに草の人形になって崩れていく。のを編み上げることは容易ではない。トラックはまだ来ない。妹は疲れ果てて床に落ちている。もう一生分働いた気がする。
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