長い一日-は-まだ-はじまってもいない/黒川排除 (oldsoup)
もはや蝋だけになってしまった蝋燭が朝日に向かってずっと敬礼をしている。背中は溶けていたが川になるという保証はなかった。よく出来た草むらの中で一時間の長さをあっちから引っ張っている王子。蝋だけになってしまった蝋燭が? 王子は笑っていた。目の前には大海がぽつんと佇んでいて、まだ何か物欲しそうに波打っている。そこまででちょうど一時間。
二時間目。まず亀裂の走る音を聞いたとき雨を恐れていなければならない。わかった? しかるのちに挙手。海溝から海面までどれぐらいの距離があったかは知らないが、ヨットのようなてのひらが海面に影を落としている。青い空、青い瞳。瞳は肌色であってはいけない。岩盤の運動を食い止め
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