半日の休憩/霜天
予鈴のずるさを聞く前に
抜け出してしまいたかった
靴に滑り込みながら
私は少しずつずれていく
それでも、毎日に所属している自分の姿に
ほっと、息が漏れてしまうのは
私のずるさ、だろうか
背中が、ぴりぴりと痺れる
息を潜めている街をすり抜けて
海が見えるはずの丘へ急ぐ
空も街も、私の目に映る空間はどこも
ぼやけて見えないけれど
海はその先できっと青いから
今日も同じ景色に馴染んでしまう
昼下がり
街は閉じるように眠りに落ちる
変わる余地なんてどこにもない
何十年後の未来でも
きっと同じ寝息が聞こえる
そこに加えてもらいたい
私がそう、決めたから
ゆっくりと倒れこむ私の後ろで
大げさなチャイムが聞こえる
それでも、もう追い付けない
ここはもう
半日の休憩だ
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