「静かの海」綺譚(21〜31)/角田寿星
ぼくらはいったい どんな行動に出るのだろう?
森は粛然と育つ
月のユグドラシルとなるべく
27
森に生き
森と共に歩み
森と同じ光を浴びる
人間は
そんな簡単なことが出来なくなってしまった
28
ぼくの師が死んだ
真夜中に酸素ボンベを持たずに外出して
酸欠状態で 路地裏に座ったまま
死んでいたという
ぼくは知っていた
師が ぼくにバンドネオンを譲り渡した時から
少しづつ 静かに死んでいたのだと
そしてぼくらも この瞬間にも
少しづつ死んでいる
ぼくは友と一緒に
楽器を携えて月面に立った
師の好きだったバラードを弾きな
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