僕のキセキ/maumi
夕暮れに刺す陽の光
目を細めながら
少し上り勾配の橋を渡る
川岸にくくり付けられた
名も無き小船
オレンジ色の輝石
水面で少し揺れていた
真中辺りで行き交う車
何となく背を向けながら
今までの僕の軌跡を
思い返したりしてみた
オレンジの一線に手を伸ばして
君に会いたいなんて
考えていたんだ
こんなにも会いたい君に
なんて話せばいいのだろう
会いたいと思う程
心は叫ぶけど
いつまでも言えないのは
名も無い小船のように
動く気配さえしない
陽の光が水面に消えると
船さえ見えなくなりそうで
急いで橋を渡るのが
今出来ることの全てだ
偶然に逢えるなんて
夢を見ることくらいが
今願う僕のキセキ
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