[ 天使と僕(ゆめくい)]/渕崎。
 

『バクは夢を食べて生きているのです』


今日は満月が少し欠けている。
昨日が満月だったのか、それとも明日が満月かは、
よくはわからなかったがけれど
とりあえずカーテンを開ければ部屋の家具がぼんやりとわかる程度には
明るい月の夜だった。

なかなか寝付けない僕は、
窓の外に視線を向けて、とりあえずベッドの中でゴロゴロとしていた。
月に何度かこういう夜が訪れるので大して思うことはない。
元々、寝つきはうんざりするほど悪い方だからだ。

『あらあらまぁまぁ、まだ眠ってなかったのですね』と、
やはりいつもどおり唐突に自称天使は僕の部屋に現れて困ったように笑った。
僕は
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