たどり着けないイブ/クリ
美沙子、なんだか思い出しちゃったんだよ
俺もまた性懲りもなく別の娘とつき合ってるんだけど
君より13センチも背が低くて、俺のコートの中に入っちゃうんだよ
小さいけど美人、なのかな、よく喋るよ、俺の4.5倍くらい
「具だくさんのスープのおいしいとこ」って変な注文で
なんだかこの駅で降りてしまったのさ
狭い道曲がって曲がって曲がってそしたら美沙子、思い出した
ここはイブに君といっしょに来たスープ屋さんだったって
「こんなおいしいの前世でも食べたときない」
彼女はそんなふうにハフハフだけど俺はもう口の中カラカラで
シェフのおすすめの味もしないのさ、なんだか
君が好きだっ
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