[ 天使と僕(ゆうやけ)]/渕崎。
『夕焼けは魂の火葬なのです』
燃えるような夕暮れ時のことだった。
無個性極まりない黒いランドセルを背負っての小学校からの帰り道、
ビルの合間に消えていく燃えるような夕日を意味もなくぼんやりと眺めていたら、
どこからともなく唐突に現れた居候天使は、
やはり何時もどおり何の脈絡もなく唐突にそう呟いた。
僕はは、ぁ?と怪訝な顔をして、
道路にまったく影の映らない斜め後ろの自称天使を見あげた。
今日は珍しくちゃんと地面に立っている。
もしかしたら、少しばかり浮いているのかもしれないが。
天使は眉間に皺を寄せた僕に微笑んで、
すっと夕日を指差し『夕焼けは魂の火葬なの
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