「幽霊」についての私的覚書/岡部淳太郎
昔、一九九八年から九九年にかけて「夜、幽霊がすべっていった……」という連作を書きついでいたことがある。後に「現代詩フォーラム」に投稿し、個人サイト「21世紀のモノクローム」にも掲載した。
いまさらこんな昔に書いた連作詩のことを思い出したのは、少し前に、草野心平についての文章を書いたことがきっかけになっている。僕にとっての「幽霊」は、草野心平にとっての「蛙」と同じようなものなのではないだろうか。そんなことを思ったのである。草野心平には、詩集『第百階級』に収められているもの以外にも、多くの「蛙」の詩がある。僕の場合、「夜、幽霊がすべっていった……」の連作を書いた後すぐに「月曜日の幽霊」という長い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)