風/沢村 俊輔
 
大きな風が
ブナの木を揺らすとき
人は
何事が起きたのだと
ハッとする
でも
小さな風には
見向きもしない

なぜなら
人は
自分が
大きな風を
吹かすことばかり
考えているから
毎日
大切なものを
見逃して歩いている

人は
大きな風が吹いたとき
そのたびに
自分が
おろそかにしていたものを気づかされ
一番大切なものが何だったのか
見つめなおしている


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