手のひら/
石川和広
自分から外へ
外に向ける事で自分のものになる
さようなら こんにちは おはよう
布団をめくる
おきあがれない
それでも立ち上がる
「はい 起こしますよー
1,2,3」
そうだ 起こしますよーと言いながら
自分の背骨をおしあげて
腰をすえて
立ち上がる自分がいた
手のひらはこっちやで
ほら やっと こっちに振ってくれた
そんな体験が確かにあったのだ
玄関で
布団で
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