妄想都市・JR/かのこ
 

汗ばんだ肌を撫でていった。

誰もいない雑然とした部屋の中
溜まった洗い物も洗濯物も
今は何も言わないで
ただ私の何かを待っているようだった。
瞼を閉じる。彼女とは違うシンプルな瞼。

現在というものは未来があっての時間だと私はずっと信じていた。
将来や未来といったものは
知らず知らず現在に繋がっていて
だから私は現在を保っていられるのだと思っていた。
今日の事、彼女の事、彼女と彼の事と
もうすぐ足元まで来ている明日
現在の私と未来の私。
だけど未来に繋がる現在の私は
まったく別世界に生きているようだ。

再び瞼を開けると
カーテンからはもう朝の光が漏れていた。
この都市で生きるすべての光は
もうどこもかしこも限界に達そうとしているのだと思った。
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