妄想都市・JR/かのこ
彼女がまばたく度に
その瞼に乗せられた青が
小さく揺れ
私は時折それを盗み見るようにしながら
彼女と彼の話を聞いていた。
車内には遅帰りのサラリーマンたちが
妙な静けさとともにか細い息をしていた。
じゃあね。今日はありがとう。と言って
都市のはずれにある小さな駅で私は降りた。
ドアが閉まり、彼女を乗せた電車は
また私を追い越していった。
最後の通り過ぎていく電車の中に
彼女の姿を確認しようとしたが
窓際に立っていたサラリーマンに遮られてしまい
電車は一瞬の強い光とともに行き過ぎた。
がらんどうなホームに静寂が訪れる。
午後11時。9月の生暖かく、湿った風が
汗
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