鏡/雪原の下/久野本 暁
 
開いた手の平はどこまで近づけても絡み合うことは無かった


遠ざかる程に
近付いた時を
悔やみ

縁取りを風で見失って幻影に惑わされるだろう
触れ合っていたはずの頬さえ今は冷たい


互いの手を 互い違いにならない手を

同じテンポで伸ばしてみても


触れ合ったはずの指先は今も冷たい



開いた手の平はどこまで近づけても絡み合うことは無かった
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